第30回 AMD Award '24

AMD理事長賞

  • Netflixシリーズ「地面師たち」
Netflixシリーズ「地面師たち」|第30回AMDアワード大賞 AMD理事長賞

授賞理由

「こんなドラマが見たかったんだよ」と目の肥えた大人たちだけでなく、動画配信育ちの若者や海外のドラマ好きな人たちまでも熱狂させたのがNetflixの「地面師たち」だ。

国内で1位を取ること6週連続、全世界でもトップ10入りを果たした。

実際に起こった不動産詐欺事件をモデルに、地上波テレビや映画では描きにくくなった内容を、個性的な俳優たちと巧みな演出によって娯楽作品に仕上げた大根仁監督の手腕を高く評価。

実社会に起きている問題はより複雑により見えにくくなっている。そうした状況に真正面から取り組みエンタテインメント作品に仕上げたクリエイターたちのチャレンジ精神に映像作品の可能性を強く感じさせられた。

受賞コメント

この度は栄えある賞をいただき、大変光栄です。ありがとうございます。

映像コンテンツが従来の映画・テレビという垣根を越えて、ネットメディアで視聴するユーザーが増えてきた昨今、またコロナ禍を経て多くの人が世界中の優れた配信ドラマを見慣れてきた中で、国内のみならず世界配信フォーマットに耐えうるクオリティ・エンタメ性を追求して作った「地面師たち」が、日本やアジアを越えて世界中の多くの国や地域で観られたことはこの上もない喜びでした。Netflixを始めとする配信メディアは、まだまだ大きな可能性と映像表現の自由度を秘めていると思います。これからも素晴らしいスタッフ・俳優たちと“世界配信”の名に相応しい作品作りに身を捧げていく所存です。そして、こんな物騒なドラマに賞をくださった協会の皆様の懐の広さに感謝いたします。

作品紹介

再び土地価格が高騰し始めた東京。辻本拓海(綾野剛)はハリソン山中(豊川悦司)と名乗る大物不動産詐欺師グループのリーダーと出会い、「情報屋」の竹下(北村一輝)、なりすまし犯をキャスティングする「手配師」の麗子(小池栄子)、「法律屋」の後藤(ピエール瀧)らとともに、拓海は「交渉役」として不動産詐欺を働いていた。次のターゲットは過去最大の100億円不動産。地主、土地開発に焦りを見せる大手デベロッパーとの狡猾な駆け引きが繰り広げられる中、警察が地面師たちの背後に迫る。騙す側と騙される側、そして地面師を追う刑事。三つ巴の争いは、度重なる不測の事態の果てに、狂気と欲望にまみれた地面師グループの間に亀裂を生じさせ、拓海の「過去」とハリソンの「因縁」を浮き彫りにしていく……。

STAFF

大根仁 (映像ディレクター)

1968年生まれ。2011年に劇場版『モテキ』で映画監督デビュー。その他の作品に『バクマン。』『SCOOP!』『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』『SUNNY 強い気持ち・強い愛』など多数。テレビドラマも「モテキ」「共演NG」「エルピス-希望、あるいは災い-」など話題作を数多く手掛ける。2019年に外部演出家として初めてNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」に参加。『モテキ』で第35回日本アカデミー賞話題賞 作品部門、『バクマン。』で第39回日本アカデミー賞優秀監督賞、「エルピス–希望、あるいは災い–」で第60回ギャラクシー賞テレビ部門 大賞を受賞。監督・脚本を務めた、Netflixシリーズ「地面師たち」は、5週連続グローバルTOP10入り、日本でも6週連続1位、そしてなんとトータルで計18週、日本の週間TOP10入りを果たす大ヒットを記録。

© 新庄耕/集英社